海外進出 ちょっとその前にやることあるんじゃない?② | 外資系戦略コンサルタントの視点から見たアイドル・ビジネス

2011/11/30

海外進出 ちょっとその前にやることあるんじゃない?②



前回の続きです。

海外進出 ちょっとその前にやることあるんじゃない?①


これから、

芸能プロダクション合同でアイドル・エキスポを開くことにどんなメリットがあるか述べていきます。





まずは、アイドルの魅力に気付いていない海外に対して

日本のアイドルの魅力を総合的に見せることができるという点です。


アイドルグループにはそれぞれ異なった魅力があります。

僕はアイドルエキスポには最低でも

48グループ、avex、アップフロント、 スターダストのプロダクションで

協力してもらいたいと思っているので、これを例に出しましょう。


48グループであれば、必死で努力する姿やカワイイ制服をベースとした衣装

avexのFairiesであれば、スタイルの良さとダンスパフォーマンス

同じく、東京女子流であれば、ゴスロリ衣装を基調とした日本の先端ファッションと可愛らしさ

ももクロであれば、忍者やネクタイはちまきのサラリーマン衣装と、元気なパフォーマンス

ハロプロであれば、優れたパフォーマンスと若干古い華やかなアイドル衣装などです。


このように様々なポジショニングされたアイドルグループを各社は有しています。

正直、これらのグループのどれがどれだけ海外で受け入れられるかは誰にも分かりません。
(事前にアンケートを取って、ある程度の推測することは可能ですが、

的中率100%なんて戯れ言です。)


ですが、 一番重要なのは日本のアイドルって多面的な魅力があるんだよという

様々なニーズの掘り起こしをすること、

1つへのアイドルへの興味をキッカケとして、多くのアイドルグループに興味を持ってもらうこと、

そして、

多くのグループが集まることによって、

一般人の注意を引き、足を運んでもらうことが重要です。


あくまでこのイベントは注意や興味喚起(AIDMAのAとI)が必要なため、

収益は無視する必要があります。


なので、ライブはUstream、Youtubeはもとより、会場のパブリックビューイング、

及び映画館のライブビューイングを利用することは必須だと思います。



さて、次にメリットとしてコストの分担について述べたいと思います。

市場の立ち上げにおいて失敗するリスクは高いです。

アイドルの魅力が海外に伝わるかどうかは、予測しようがありません。


ただし、アイドル・エキスポであればもし失敗しても、

各プロダクションのコスト負担は単独で開催するよりも少なくて済みます。

(まぁ失敗と言っても、この試みは完全に投資であるため、一回ごとの収益は赤字です。)


特に間接費は分担できるため、

CM、PRなどのマーケティング費用、

イベントのコンサルティング、設置費用、運搬費、場所代など は全て分担できます。

アニメエキスポと共同でやればそれ以上のコスト分担が可能です。


また、海外への日本コンテンツの輸出という点で、

国からのバックアップも受ける可能性が高まります。


余談ですが、

ハロプロファンとして1点ほど危惧するのは、

 48グループとavexの関係性は密で、avexとスタダの協力は最近やってるので、

ハロプロは共同プロジェクトから抜かれる可能性が・・・・(笑)



さて、次に「なるべく早く」という点です。

これに関しての理由は円高です。

今現在、円高傾向が強いため、海外への投資は日本円機軸では割安です。

しかし、逆に現在利益を得ようとしても、円高のため圧縮されてしまいます。


特にこのアイドルエキスポの話を今の時点で出したのは、

このアイドルエキスポが投資目的のためです。


今現在の欧州発端の金融危機も、

騒動が一巡すれば、日本の国債発行額の多さ、

国際競争力の弱体化、高齢化により、5年スパンで考えれば円安に向かうのは明白です。
 (国債発行額は95%が国内で賄われてるのでIMFが言うほど深刻ではないですけどね。。。。)


そうすれば、

5年後には海外のアイドル市場が成長していれば、 おいしい市場になるわけです。

つまり、将来のアイドル市場の発展の為に、"今"、市場の種まきをする必要があるのです。


最後に「海外で実施する」という点ですが、

ざくっと考えると

シンガポール(アジア)→ヨーロッパ→アメリカ の順で

開催するのが良いのかなと思います。


まずは、

シンガポール(アジア)で開催する理由としては、

・輸送費の安さや物価の観点

・アジアのハブ空港を擁する点

・J-POPやアニメになじみがあるアジア圏

として、アイドルエキスポのテストパイロットとして最適だからです。

まずはここで開催してノウハウを蓄える目的と、欧米進出の可否判断をする必要があります。



そして次はヨーロッパですが、

日本文化やアニメの浸透度からフランスやドイツが良いと思いますが、

一点気を付けなければいけないのは、 メインターゲットとなる若年層の雇用率の低下ですかね。


欧米の若年層を元気づけるために、 


ももクロの「労働讃歌」を歌ってもらうのもアリだと思います(笑) 


最後にアメリカ

これはヨーロッパとの順に悩みましたが、人口と日本文化への傾倒度で決めました。

アメリカで成功できるかどうかは最後の障壁になると思うので、

もうちょっと海外(特にアメリカ)のアイドル市場の受け入れ反応は勉強しないと・・・・


まぁ各地域によってどのような歌、衣装、パフォーマンスを提供するかは、

各芸能プロダクションごとの話なので今回は省略します。


さて、これで一通り説明は終わりました。

この文章を書いていて、

 ・海外のアイドル受け入れの反応

 ・韓流アイドルの海外進出の取り組み

 ・PUFFYがアメリカで受け入れられた理由

について深堀する必要があるなぁと思いました。


そして、余談ですが

最近、最も海外進出に積極的なのは48グループでしょうね。

48グループのシステムをパッケージ化して秋元さんは売り込んでますし、
(その第一弾がJKT48)

AKB48のアニメ化も実は、海外進出を意図してのアクションじゃないかと思ってます。


最後になりましたが、

このテーマで結局何がいいたいかっていうと

「も~単独でソロバン弾いて利益を独占しようとするのは失敗するだけだし、止めにしようや。


海外での新しい市場の立ち上げには、


As One Japanとしての取り組みが必要だってことに気付よ! 


小さいローカル市場で激しい競争しても辛いのはアイドル本人達やねんから!」

ということです。 んじゃそろそろここらへんで


ばいちゃーこ

*****2011/12/05追記*******

コメントやtwitter上での意見で、面白い視点に立った方がいたので追記

AKB、ハロプロ、さくら学院はメンバー追加等の新陳代謝が働くシステム

それに対して、

ももクロ、Fairiesなどは現時点では、現メンバーでグループを続けるシステム

後者のプロダクションは、投資という点で長期的観点に立ちづらいのでは?という意見


あとは、日本の文化浸透度的に中南米もアメリカ開催と併せて考えてみては?という意見


両方の意見はごもっとも・・・・完全にその視点で考えてみなかったです。

もうちょっと練り直します~

ばいちゃーこ

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8 件のコメント:

  1. 度々、すみません。
    J-meloの海外からのリクエストが一番多かったのが
    モーニング娘。で、来年BerryzやBuono!が海外公演。
    ほかのアイドルはAKBですらアジアがせいぜいで欧米
    では全く評価されてません。基本は音楽性なんですよね。
    ハローは音楽のクオリティーが高いから欧米でも評価
    される。他のアイドルももうちょっとオリジナリティの
    ある楽曲がつくれないと抱き合わせ商法もあまり意味
    ないと思います。
    失礼しました。

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  2. mjmさん

    ご指摘ありがとうございまっす。

    J-meroでモー娘。が一番人気だったのは知ってますし、
    一ファンとして嬉しかったです。

    ですけど、
    ハロプロってなぜ海外にシフトできないんでしょうか?

    ヨーロッパツアーが組めないのはどうしてでしょうか?

    その答えはアイドルに対する認知が低く、日本でやるより利益が低いからです。

    じゃあCMを射てば、きちんと認知が上がって
    利益が上がるようなブームになるんでしょうか?

    それをハロプロが抱え込むリスクは?(失敗すれば倒産します。)

    僕が書いたのは、それに対する対策として、この話をしたんですよ。

    ハロプロに限らず、全ての事務所はリスクが怖いですから(笑)


    ちなみにmjmさんが仰る、

    欧米で全く評価されていない根拠ってあります?

    根拠といっても、"欧米の人々が認知していない"という根拠ではなく、

    "楽曲が嫌い" 若しくは "楽曲が良くない"

    といった意見があるかどうかの根拠です。


    質問責めしてるのは、mjmさんを責めてるからではなく、

    これに対する僕とは違った意見や観点があれば、

    柔軟に聞き入れて僕のこの案も改善したいと思ってます。

    (ちなみに、気は悪くしてないですからね(笑))

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  3. 海外でツアー組むとしたら問題点として、
    まず移動の過酷さ。普通のバンドなんかのヨーロッパツアー
    の話を聞くと移動に大型バスなどを使ってるみたいですし、
    ハローのようなパフォーマンスではそうとう肉体的に負担に
    なります。もし腕利きのプロモーターがいて、プライベート
    ジェットなんかを用意してもらえるなら改善されるかもしれ
    ないですけど、そうなってくるとアップフロントの手から
    離れることになるかもしれません。それに、海外の興行は
    マフィアが仕切ってるのがほとんどです。男のバンドとは
    違いライブ以外にも問題はでてきます。あと単純に今の円高
    では...。ツアーという形よりは信頼できるイベントのみ出演
    という形態での海外活動が、今はしょうがないでしょう。
    メンバーがみんな20歳を超えて覚悟を決めたら海外ツアーも
    できるかもしれませんが。

    AKBや他のアイドルが欧米で評価されていないのは、
    AKBについては、秋元もテレ東のWBSって番組で「海外公演は
    成功していない」っていってましたし、YoutubeあたりでAKB
    含め他のアイドルの海外公演見ればだいたい分かります。
    あと海外で口パクなんてありえません。この点で日本の多く
    のアイドルが評価以前の問題で話が終わってしまいます。

    楽曲についてですが(文才のない私が音楽を言葉で表現する
    のは厳しいので、多少ご容赦ください)、
    基本オリジナリティーは必要ですし、楽曲や歌に自己主張が
    感じられないとダメです(本来なら、歌詞も重要ですが、
    ハローは日本語でも意味不明でも関係ないところまで持って
    いけてるのが凄いです)。これが最低ラインだと思うです
    が、この点でも他の日本のアイドルは厳しいです。
    ハロー楽曲のオリジナリティーについては、海外のあらゆる
    地域あらゆる年代の音楽を基にしつつ日本の音楽とユーモア
    を交えて作られていて、そのセンスも抜群だと思います。
    あとはリズム感の素晴らしさ。とてもシンプルなんですけど
    歌詞と歌い方で独特なリズム感をだしていて、なおかつ
    曲とダンスのリズムをぴったり合わせている(日本語って
    最もリズム感のない言語だと思うのですが、それを
    リズミカルにできたのが他のJ-POPと比べても評価される点
    だと思います)、ライブが異様に盛り上がるのもこのリズム
    感が大きな要因でしょう。

    結局、欧米人の価値観はウォークマンやハイブリッドカーと
    いった圧倒的なものでしか崩せないので、中途半端な売れ線
    狙いの曲や歌やダンスでは話になりません。

    またご意見があると思います。お待ちしてます。
    長文、失礼しました。

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  4. mjmさん

    コメントありがとうございます。

    若干、mjmさんと話が噛み合わないので、

    http://cute-strategy.blogspot.com/2011/12/blog-post_02.html?showComment=1322924012794#c2284017532102192684

    のコメントの方で、まとめて書きました。

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  5. 興味深い考察有り難うございます。
    確かに韓流アイドルの海外進出方針をみると、国家戦略的な面も含めて各社が共同し、切磋琢磨してますね。
    もともと人口が少なく文化的な器も小さいので最初から日本などをターゲットにしているんでしょう。
    進出の順序ですが、東南アジア→欧州の流れは普遍として、意外と中南米で日本文化は浸透していて、日系人を中心にアイドル・コスプレ文化も流行ってます。
    最近はアメリカにもヒスパニック系の文化が流入してるんで、その流れに乗るうえにも欧州→中南米を経由した方が良いかもしれません。
    ただ、距離的・人口密度的なものがネックになりそうですが、スペイン語文化圏では国を問わずTVやCS放送が流れてますんで、主要都市(メキシコ・ブエノスアイレス・サンパウロ)などから中継すれ全中南米圏に放映されるかもしれませんね。

    横から口出しの様で申し訳ありません。

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  6. >影帽子さん

    コメントありがとうございまっす!

    中南米はナイスアイディアですね。

    メキシコでのハロプロ人気は結構ありますし、
    日本人の移民関係もあって、中南米は日本文化の浸透度も高いですね。

    仰るとおり、後はビジネスとして収益が上がるかの部分なので、ちょっと考えてみます。

    アドバイスありがとうございます~

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  7. ビジネス視点のアイドル論興味深く読ませて頂きました。
    アイドルの海外進出についてですが、ハロプロは設立当初から海外進出に意欲を見せある程度の成功を収めています。
    現在モーニング娘。は中国、韓国、アメリカの現地音楽レーベルからCDが発売されています。HelloStoreUSAでグッズも購入できます。

    日本人アーティストでメジャーレーベルと契約できた事例PUFFY、宇多田ヒカル等はあくまでアメリカンスタイルに従っていますので、日本のアイドルがメジャー化するにはアメリカナイズして日本のアイドルの魅力を消さないとメジャー化できないのでは?と思っています。

    日本のアイドルのアニメとのタイアップはアメリカ、フランスの市場では行われていています。(アニメソングの主題歌を歌っています)モー娘。Berryz工房のCDを発売している現地レーベルは、アニメエキスポ、JAPANエキスポのスポンサーで、自社CDをプロモーションする為に、モーニング娘、Berryz工房、Bouno!のライブを行っています。

    海外のレコード会社も日本のミュージシャンに注目しており、魅力的なアイドルはすぐに海外デビューできる状況にあります。AKBやももクロは海外のレコード会社と契約していないにも関わらず、ハロプロ、中田ヤスタカPのMEGやきゃりーぱみゅぱみゅ、ビジュアル系バンドなどは現地レーベルから発売されている状況を見ますと、ひと口に日本のアイドルと言っても海外で受けるものと受けないものがあり、アイドルエキスポのラインナップも日本のアイドル市場とは別のラインナップが必要ではないかと思います。

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  8. >teppeidonさん

    おーナイスな情報ありがとうございまっす。

    参考にさせて頂きます。

    アイドルを現地の好みに合わせるかどうかに関しては、
    難しい判断が必要ですよね。

    多分、まずは日本のままの形で輸出して、その後に海外ファンの声に耳を傾けて徐々に変えていくのがいいんじゃないかなとは思いますが、そこら辺に関しては全然見識が無いのです。(><)

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