各アイドルのファン獲得力の比較からわかること | 外資系戦略コンサルタントの視点から見たアイドル・ビジネス

2014/10/04

各アイドルのファン獲得力の比較からわかること



みなさん こんにちは。
CuteStrategyです。

そういえば前回書いたブログが、Huffington Postで2800いいね!近くも反響があり、
とても嬉しかったです。ありがとうございますm(_ _)m。
エイベックス:好調な国内業績を背景に再挑戦する海外進出と、そのアプローチの変化

最近ずっと一般向けにアイドルのトレンドや概要についての文章を書いていたのですが、
ちょっと今回は細かい話をしたいと思います。

でも今回は纏まりのないメモのようなものなので、そこらへんはご容赦下さい。

なんで書こうと思ったのかというと、
さいたまさんのブログで、アイドルとブログについて大変面白い分析をされていました。
アイドル界のブログ王はどこのグループだっ! 勝手にアイドルランキング~ブログ編~

このエントリーのすごく面白いところは、
・数多くのアイドルグループ間でブログの反応について比較している
・いいね数をPV数に近いものとして見立て、コメント数をファンの熱量として見立て、
 コメント数/いいね数をブログ打率として計算している
・結果のグラフがライブ規模やヲタ数や現場の雰囲気を反映している

というところです。
特にいいね数は感覚的に結構各アイドルグループの実際の人気を反映している気がします。
詳しくはリンク先を見て下さい。

百人近くにも渡るアイドルのブログを集計するのは本当に大変だったと思います。
お疲れ様でしたm(_ _)m

で、このブログを見てふっと思ったことがありました。
このデータをもうちょっと乱暴に要約して、他の数値と組み合わせれば、
面白い分析できるんじゃ?と

そこで、さいたまさんにお願いして生データを頂きまして、
当ブログでは違う角度から分析したいと思います。
本当に感謝しています。

まずは、いいね数とコメント数は基本1人1回なので、ちょっと乱暴に要約すると

アメブロのいいねを押すのは、コメントは入力しない(できない)けれど読んだよというサイン
→ブログを読んでいるライトファンの数を表現する指標

コメントを入力するのは、アイドルとのコミュニケーションが目的
→アイドルとコミュニケーションを積極的に取ろうとするコアファンの数を表現する指標

と言えるかと思います。

ここで注意したいのは、これらはあくまで指標で、
人数の絶対数を意味するものではないことに注意して下さい。

なぜならライトファンでもいいねを押さない人もいますし、
コアファンでもコメント書かない人いますから。。。。
(そしてこんな性質の指標なので下記の図のように除数の指標で比較利用するのが好ましい)

んで、ちょっと古いモデルですが、マーケティングのAISASモデルで最初のS(Search)
が表すようにアイドルについて現場やメディアを通して、
注意:A(Attention)や興味:I(Interest)を持った人が、そのアイドルについて検索します。

これはGoogle Trendの値によって取得できるので、
各アイドルのライトファン獲得力とコアファン獲得力がざっくり算出できます。
(Google Trendの期間はブログデータと一致させています。)

これは以下のような表現ができるかと思います。
(いつも以上に手抜きチャート...)


ライトファンは、ブログをまめにチェックするようなファンで、アイドルの情報を積極的に取得し、
CDやライブに(たまに)参加するものの積極的にはアイドルとコミュニケーションを取ろうと思っていない層で、
コアファンはアイドルと積極的にコミュニケーションを取ろうとするファンで、ライブにほぼ参加し、CDの複数枚買いで握手会ループするような層を想定しています。
(僕自身や周りを見る限り、ブログチェックする時点で結構なヲタの人だと思いますが(笑))

と長い前置きはさておき、これを基に様々な数値と併せて見ると、
結構前から、漠然と思ってたことが数値として明確に見えてきて面白いです。

以下の分析を見る前に最後に理解して頂きたいのは
・アイドル自身の優劣を測る目的ではない
・Web上のデータにより必ずしもイベントの集客数を反映するものではない
・ブログのデータは14年6月1週目のみなのでイベント等によりデータに誤差が生じる
・異常値について今回は考慮しない
・面倒なのでグラフのタイトル、軸タイトル、単位など抜きですが軸は基本的に対数
・軸の交点は平均値

ということでグラフを見て行きましょう。
比較したアイドルは以下です。

・モーニング娘。’14
・℃-ute Berryz工房
・Juice=Juice
・ももいろクローバーZ
・私立恵比寿中学
・チームしゃちほこ
・SUPER☆GiRLS
・Cheeky Parade
・GEM
・東京女子流
・ベイビーレイズ
・アップアップガールズ(仮)
・Theポッシボー
・ひめキュンフルーツ缶
・Dorothy Little Happy
・でんぱ組inc.

◎興味を持った層の多さがファン獲得力にどう影響するか

まずは、興味を持った層(Google Trend値(以下GT値))とライトファン層の比較

縦軸:ライトファン層 横軸:興味を持った層 相関係数:0.96



これは0.96と、とても強い正の相関が出ています。
興味を持ってくれた層が多いとライトファン層が多くなる関係は当たり前ですね。

というかこれで強い相関係数でてくれないと、
チャートで書いたような前提や仮説が崩れてしまうので一安心

んで、ここから面白くなってきます。

次に興味を持った層とライトファン獲得力の比較
縦軸:ライトファン獲得力 横軸:興味をもった層 相関係数:-0.70


これから分かるように、
興味を持ってくれる層が多くなればなる程、ライトファン獲得力が下がってしまうという現象。

相関係数も-0.70と強い負の相関関係になっています。
これは、アイドルヲタクが他のアイドルに興味をもった場合、気軽に他の現場に行けますが、
一般人がアイドルの現場に行こうと思ってもハードルが高いことなどを意味しているんだと思います。これはアイドル業界における課題点として言われていることですが、やっぱりそれが弱いことが分かります。

ピンクの線形近似曲線より上のアイドルは、興味を持った層をライトファンにつなげるマーケティングに強いことを意味していますが、ハロやスタダ系が多いため、ブランドファミリーを上手に築くことの重要性に気付きます。これは2013年初めにした予測でブランドファミリー築くのがアイドル業界で重要だと主張したことは合ってましたね。

2013年のアイドル市場の動向を年初予測と比較して振り返る

ももクロが興味をもった層が多いにも関わらず効果的にライトファンにしているのは、
帯番組持ったり大箱でのライブ実施などしてライトファンになりやすい雰囲気があるからなのかなぁと想像できたりして、個々のアイドルについて詳細を見ても面白いです。


んで次は興味を持った層とコアファン獲得力の関係
縦軸:コアファン獲得力 横軸:興味を持った層 相関係数:-0.66


これまた-0.66とそこそこの負の相関関係が出ているのですが、これって人気が出てくるとコアファンが離れていくというドルヲタの中で言われていることが数値で出てるので面白いですね。
ももクロをはじめスタダ系は人気が出てもコアファンへのグリップ力がとても強いのも特徴的です。

◎アイドルの活動期間の長さがファン獲得力にどう影響するか

じゃあ次は視点を変えてみましょう。
アイドルの活動期間との比較

縦軸:ライトファン層 横軸:活動期間 相関係数:0.5


活動期間とライトファン層はまぁまぁの正の相関が出ているのですが、
これも当たり前ですね。逆に実績があるから長く活動しているとも言えますが。

線形近似曲線を基準に活動期間に見合ったファンを獲得できたかを見ると
ここでもハロとスタダのブランドファミリーが強いことがわかります。
その中にあっても、近似曲線より上に出ている、独立系のでんぱ組の奮闘が特徴的です。

これを見るとひめキュンやDLHが結構下に出てきますが、
この2グループは活動拠点や範囲、ファンの行動が物理的制限によって限られてしまい、
ネットのデータでは不利になるので活動中心地の人口比を加味した方が良さそうな気がします。
ロコドル系は別で考えたほうが良さそうですね。

んで、次は活動期間とライトファン獲得力の関係
縦軸:ライトファン獲得力 横軸:活動期間 相関係数:-0.45

これは-0.45とそこそこの負の相関が出ています。

以前から思っていたのですが、
歴史が長ければ長いほど、興味をもった層は知らなければならない情報が多く、情報も散乱していたり、コアファンが固定化されているためにライトファンになりづらいという関係あるんじゃないかなぁと思っていたのですが、数値として出てきました。

んで、コアファン獲得力も同様に負の相関。
縦軸:コアファン獲得力 横軸:活動期間(対数) 相関係数:-0.48



◎アイドルの構成人数がファン獲得力にどう影響するか

次に、グループを構成する人数との関係
縦軸:ライトファン獲得力 横軸:グループ構成人数 相関係数:-0.44


これも以前から思っていたことで、
48Gは人数の多さを強みに変える仕組みができあがっているけれども、
それ以外のアイドルは人数の多さが逆に分かりにくさに繋がってるんじゃないかなぁと。
ライトファン層を獲得するのは多分5,6人以下あたりがベストなんじゃないかと。

48Gについて詳しくは次のエントリーの中盤
→http://cute-strategy.blogspot.jp/2014/06/akb48.html

これも上のグラフから分かるように人数が多いほどライトファン獲得力が下がっているという関係が見えます。しかも相関も-0.44とそこそこ。なのでやっぱり仮説は正しい気がします。

まぁこれは今回は5,6人アイドルのサンプルが多いので、もうちょっと多人数アイドルの数値を拾ってみたら良さそうですが。。。。

ライトファン層やコアファン獲得力との関係は相関係数が±0.1程度だったので、相関はなし。

◎アイドルの平均年齢がファン獲得力にどう影響するか

そしてグループの平均年齢との関係。
縦軸:コアファン獲得力 横軸:平均年齢 相関係数:-0.22


これ横軸に平均年齢もってきたのは、
アイドルの平均年齢若ければ若いほうが獲得力高まるかな?
ほら、みんな若い子好きでしょ?みたいなこと言いたかったのだけれど(笑)、
ライトファン層やライトファン獲得力との相関係数±0.1位内で相関はなし。

だけどコアファン獲得力は-0.22程度と弱い負の相関あり。
アイドルが若ければ若いほどライトファンになる人よりコアファンになる人が多いらしい(笑)

ということでまぁ、若い子が好きな層と、
逆に若い子に興味を抱かない層はバランスしているんですかね。というのが結論

◎ブログの更新頻度がファン獲得力にどう影響するか

次に、ブログの更新頻度とライトファン層の関係について
縦軸:ライトファン層 横軸:更新頻度 相関係数:-0.39



これ見ると分かるように、更新頻度が高いからといって、
ライトファン層が増えるわけではないことがわかります。
というか相関係数が-0.39なので逆に負の相関です。

ブログって基本的にファンになった人が見るメディアなので、
更新頻度が適切であれば、それ以上の更新しても意味はないようです。

なので、第4象限のグループは、
更新頻度を平均値の週5.2回ぐらいまで抑えて、
その時間を他のセグメントに読まれるようなエントリーにしてブログの質を上げる工夫をするか、
他のトレーニング、アイドル活動や勉強、プライベートに費やしたほうが投資対効果が良い気がします。

でも第1象限のグループが更新頻度を減らす必要あるかどうかというと、
個別に考える必要があると思っていて、例えばJ=Jなんかは若いグループでそもそもの認知度が低いため、自己アピールする必要があると思うので更新頻度を下げる必要は無い気がします。

詳細を見ると更新頻度とライトファン獲得力、、コアファン獲得力は共に±0.0x 程度なので相関関係は全くありません。なので更新頻度は適正な数であれば良いというのがこの数字の結論ですね。

◎各アイドルがターゲットとすべきファン層はどこか

そして最後は他の軸を追加するのではなく、獲得力でマトリクスを作成



これから各アイドルグループが、どのようにファンを獲得するように考えればよいか、
ひと目で分かるようになります。

・第1象限のグループは両方強い獲得力があるので、興味をもつ層を増やすマーケティングが必要

・第2象限のグループはライトファン獲得力が比較して弱いので、興味をもつ層を効果的にライトファン層に移行させるマーケティングが必要

・第3象限のグループは、
上述の興味を持つ層とライトファン層獲得における負の相関関係から、
興味をもつ層が十分に多いグループは、獲得したライトファン層をコアファンに移行させるマーケティング(ex ももクロ、でんぱ)、
逆に興味をもつ層が十分に存在しないグループは、興味をもつ層をライトファン層に移行させるマーケィングが必要(ex 女子流、アプガ)

・第4象限のグループはコアファン獲得力が比較して弱いので、獲得したライトファン層を効果的にコアファンに移行させるマーケティングが必要

といった分類ができることになりますね。

個別にちょっと見ると、ポッシやベビレのコアファン獲得力が際立っています。
すごくコアファンから愛されてるグループなんだなぁと。

ポッシは、両方高いスコアを出しているので、興味をもつ層を増やすことに注力し、
ベビレはコアファン獲得力が高いので、折角興味を持ってくれた層を如何にライトファン層に引き込むマーケティングができるかが重要みたいです。

J=Jはライトファン獲得力で際立っています。
やはりハロヲタのハロに関する忠誠心の高さ&流入の凄さを感じると共に、
スタダも若いグループを集計したらライトファン獲得力は高くなりそうな気がします。
アイドルにおけるファミリーブランドは重要ですね。

でんぱ組は、GT値では全体の2番目、いいね数は全体の3番目、という高い数値で、武道館も実施しているし、ライトファンが入りやすい現場の雰囲気と、コアファンが多い印象があるにも関わらず、何故か両方の獲得力が弱いのは不思議です。何かブログに特徴があるのか、ただ単純に数値が意味する通り興味のある層をコアファンまで効果的に取り込めてないだけなのか。。。。。

今回のデータで結構面白いことが分かったので、
ブログのいいね数とコメント数を取得するスクリプトあったら、
もっと長い期間や推移が分かったりするので誰か書いて下さい 泣

一応、これ以外にも、ライトファン獲得力やコアファン獲得力が何に起因するかを調べるために、多変量解析とかやってみて面白いこともわかったんですが、これ以上書くとめっちゃ長くなるので、時間があるときにでも公開できたらいいなぁ。
(絶対書かないパターン(笑))

以上

1 件のコメント:

  1. よろしければスクリプト作りましょうか?
    アメブロのやつならばすぐ作れると思います。

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