2012年の℃-uteの振り返りと今後を考える① | 外資系戦略コンサルタントの視点から見たアイドル・ビジネス

2012/12/03

2012年の℃-uteの振り返りと今後を考える①



約1ヶ月半ぶりの更新

まだちょっと早いですが、
2012年の℃-uteの活動と人気の動向についてサマリーを書きたいと思います。



約1年半前(2011年7月)に書いた時は、
℃-uteの検索数の推移は2008年~09年をピークに減少しており、
以下の様なエントリーを書きました。
さて、その後の℃-uteはどのようになっているのかを見て行きましょう。

まずは、現在のメインストリームになっているAKB48の検索数の推移

約1年前のエントリーでも書きましたが、
今現在AKB48は製品ライフサイクルで言うと成熟期として、成長が停滞した状態となっています。
(その他48派生グループに関しては苦戦、海外グループは長期的視点が必要)
AKB48はこれからが本当の正念場①

実際、48グループは日本におけるアイドル市場の成熟を見越して、
昨年から日本国内のグループ展開を停止させ、海外展開に軸足をシフトしています。

48グループがマーケティング戦略やプラットフォーム化、ビジネスモデルの構築において
どちらかというと近代経営学的なセオリーで多くイノベーションを起こし、
人気を獲得したことに対して、

ももいろクローバーZは少人数構成のアイドルグループとして、
ポストモダンマーケティング的な展開で人気を獲得しています。
(近年は、少人数構成のため
AKB48とは異なり非接触型の旧来型マス・プロモーションを実施しています。)
→参考:ポストモダンマーケティング

こちらに関しては約9ヶ月前に、
ももクロの人気が次のステージに移行したことについて分析しました。
ももクロがAKBを追い抜く日は来るか
そして検索数に関しては今現在AKBの半分近くまで接近している事がわかります

さて、
アイドルヲタクではない一般層まで浸透しているTOP2のアイドルグループの
現在の状況について述べた後、それに続くアイドルグループについて述べます。

今現在の検索数を比較した場合、
モー娘。、Berryz工房、℃-ute、SUPER☆GiRLS、ぱすぽ☆、東京女子流が
次に人気を獲得しているアイドルグループとして控えています。

モー娘。、Berryz工房、東京女子流を含めると話が複雑になってしまうので、
℃-ute、SUPER☆GiRLS(以下スパガ)、ぱすぽ☆の3グループについて、
検索数、CD販売数、ライブ動員数の観点から比較します。

まずは検索数の観点から

グラフを見ると僅差状態の3グループですが、
2012年4月まではスパガ、ぱすぽ☆が抜けており、
4月のアイドル横丁が契機となり℃-uteとスパガが上昇し、
6~8月の夏の期間はスパガが初動7万枚のCDセールス、
a-nationや4日連続ライブなどを実施して注目を浴びている状態となっています。

その後の2012年の後半は
℃-uteは910の日と冬ツアーを前に検索数が上昇し、
スパガはスキャンダルによるネガティブな検索が上昇、
ぱすぽ☆はCD販売などがあったにも関わらず、
主だったニュースがなく苦戦している状態です。

このことから2012年後半は若干℃-uteが目立つ存在となっていることが分かります。


次にCD売上の観点から見ると、明暗がわかれてしまいます。
グラフから分かるように、スパガ及び℃-uteは増加傾向、ぱすぽ☆は急速な減少になっています。
CD売上枚数推移(2011年~ 単位:万枚)















ぱすぽ☆はデビューシングルがオリコン週間ランキング1位を獲得し話題となりましたが、
その後、固定ファン及びファンの複数枚買いを保持できず、
2012年から急速に枚数を落としていきます。

これに対応し、CDを買えばほぼ100%ライブに参加できるプロモーションを行いましたが、
1千枚程度の増加となるなど、苦戦を強いられています。

スパガはデビュー後からほぼ一貫して増加傾向にあり、
2012年夏に発売された前作のプリプリSUMMERキッスは累計9.2万枚を記録しています。
こちらはTV出演、CMによる大規模なプロモーション及び
スパガ率いるiDOL Streetグループ総出の握手会によって獲得されたもので、
次の赤い情熱シングルでは若干売上数が減少しています。

最後に℃-uteは急激な増加ではないものの、
2011年に比べ2倍以上のセールスを獲得しており去年と比べ安定的な成長を続けています。
チェキ会や個別握手会などの去年になかったイベント実施が功を奏したと考えられます。

1点程付け加えておくと、
近年のアイドルCDセールスは個別握手によって枚数の底支えが行われており、
ぱすぽ☆(9人)、スパガ(11人)、℃-ute(5人)構成と℃-uteの人数が少ないにも関わらず、
売上枚数的に良いポジションに居るのは、
新規ファンの獲得、顧客単価の高いファンの獲得及び保持が
他のグループよりも成功していることを表しています。

実際、同じグループ構成人数で接触を最近全く行わなくなったももクロでさえも、
6万~10万枚のCDセールスなので、
今後の℃-uteの課題は、握手などの接触イベによる固定ファンの保持と
プロモーションによる新規ファンの獲得のバランスが重要視されます。
(これが意味するのは接触イベを一部のコアファンによる買い支えのイベントではなく、
新規ファンを如何に固定ファンに繋げるのかの設計を上手くする必要があるということです。)

最後に、
ライブ動員数について比較します。
ライブ動員数は、どれぐらいそのアイドルにファンがお金を払って見に来るかを比較したいため、
有料の単独イベのみで比較します。
それが以下となります。



このライブ動員数を見ると、
ぱすぽ☆がCD売上と同様にライブ動員数でも差を付けられていることが分かります。
キャパの差は無いにもかかわらず、動員数及び売上高の差がついているのは、
単発公演でしか実施しないことと、ライブ単価(3,000円)という低価格が響いています。

ぱすぽ☆がCDプロモーションのために、
同伴者可能なライブ参加券を封入した攻勢にでたにも関わらず、この現状は残念です。

スパガは今年の初めにライブツアーを実施しましたが、
その後はTIFやa-nationの参加などを中心として単独では大きな動きがありませんでした。
夏にも4日連続の昼夜ライブを実施しましたが、新宿BLAZE(キャパ800人)での実施と
かなり大人しい開催に留まっています。

それに対して、℃-uteは同じ公演を複数回数(冬ツアーの場合は10回)で、
ほぼ2,000人程度のキャパで実施するので、売上が高いのと同様に、コストが低く抑えられるため、
利益率も高くなっています。


以上が、他のアイドルグループと比較した場合の℃-uteについて述べたので、
次は℃-uteについて深掘りしたいと思います。







1 件のコメント:

  1. 単独ライブの動員数が桁違いなんですね。
    やはり数字で表すと事務所の戦略が明確になりますね。
    そこまできっちり戦略建ててやってるかどうかは疑問ですがw

    ℃-uteについての深掘り考察期待してます。

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