AKB48はこれからが本当の正念場① | 外資系戦略コンサルタントの視点から見たアイドル・ビジネス

2011/10/31

AKB48はこれからが本当の正念場①



さて、本日はAKB48について書きます。


まず、最初に言っておきたいのは僕はAKBは好きで、

別にアンチでもなく、元々アイドルに興味を持ったのはAKBがきっかけ。

今でも大島優子、小嶋陽菜、柏木由紀などがTVで出てくると"かわいいなぁ"と思って、

チャンネルを止めてしまいます。

そして、プロジェクトが忙しくて辛い時に、

高橋みなみがリーダーとして頑張っている姿を見て

俺も頑張らなくちゃなぁと勇気をもらったこともあります。


そして楽曲も好きで「大声ダイヤモンド」や新曲の「風が吹いている」は楽曲の良さもそうですが、

メッセージ性の強い歌詞も好きです。




さて、誰でも書けるように設定しているコメント欄が荒れないように

アンチではないという前言い訳したところで、

この記事のテーマについて話をしましょう。


1990年後半から2000年前半までモーニング娘。がアイドル市場をリードし、

その存在が大きかったがゆえに、

その後はアイドル冬の時代と呼ばれるまで市場は冷え切ってしまいました。


そんな中、秋葉原の小劇場からスタートしたAKB48は、

このアイドル冬の時代を乗り越え、

社会現象になるまで大きくなり、

現在ではアイドル市場をリードしている存在です。


まず始めに以下に、AKB48と他のグループとの人気度の比較をグラフ化しました。



グラフから分かるように、少女時代が奮闘はしているものの、

他のアイドルグループにとってAKBは相当大きな存在になっています。
(人気度は他のグループの約100倍近く)


僕はAKB48がヒットした理由として大きく3つの理由があると思います。

・グループを構成するメンバー数を大きく増やしてAKBというブランドを構築した。

(また、その人数の多さを利用して、グループ内の競争原理を導入し、
グループ外に対してセグメント別にアイドル資源を投入することによって
インターネットが主流となった現在におけるファンの消費活動にAKBブランドとして対応した)

・"ファンと共に成長する、会いに行けるアイドル"として人気の拡大にファンの参加を促した。

(また、ファンに対してアイドル成長に参加を促すことによって実物のサービスを提供し、
コピー可能な音楽のコンテンツ消費というデジタルから脱却した)


・AKBの競争原理に対して贖っていく姿が現在の世相にマッチした。


それぞれについては、時間があれば1トピックづつ書いていきたいと思いますが、

本日の内容は2番目の「"ファンと共に成長する、会いに行けるアイドル"として

人気の拡大にファンの参加を促した。」に該当する選抜総選挙についてです。


AKB48が現在のようにファンを大きく獲得するにあたって、

選抜総選挙が大きく寄与しています。


特に、この制度は良くできていて、

・既存ファンにとっては自身が推すアイドルのマスコミ露出を増やすために参加することで、
ファンの執着度を増加することに貢献

・新規/見込ファンにとっては、総選挙の結果がマスコミなどで報道されることによって、
アイドル個人もしくはAKB自体に興味を持つきっかけ作りに貢献

など、既存及び新規/見込ファンに対してアプローチすることが可能です。


そして僕自身AKBの存在を知ったのは2009年の総選挙でした。


さて、この選抜総選挙が果たしてAKBの人気と関連があったかについて見ていきたいと思います。

まずは、第一回選抜総選挙(2009年)についてです。



このように、明確に総選挙の前後で人気度が大きく変わったことが分かります。

成長率にして約1.5倍です。


次に第二回選抜総選挙(2010年) についてです。
















二回からマスコミが大きく扱うようになったため、

この総選挙によって多くの新規ファンを取り込むことに成功し、

総選挙の前後で約3倍と大きく人気度が上がっている事がわかります。


特にAKBの不動のエースとして君臨していた前田敦子が

大島優子に破れたことは大きくニュースになりました。


さて、

この2回の選抜総選挙の人気度推移を見ることによって、

総選挙がAKB48の人気に大きく貢献していることが分かると思います。


そして、

第三回選抜総選挙(2011年)です。

こちらは前回一位に輝いた大島優子が、

前田敦子に逆転されるというドラマティックな展開で、

マスコミでも大きな話題となりました。


しかし、若干過去二回の現象とは異なっています。



このように、若干総選挙の前後で上昇(1.1倍)していますが、

完全に頭打ちしている状態になっています。


特に過去において、

選挙前の人気度を選挙後の人気度が下回ることはなかったのですが、

現在10月においては選挙前の人気度を下回っています。


過去のブログ記事でも書いた内容ですが、

AKBは製品ライフサイクルにおける成熟期のピークを超えて、

この後、衰退するのでしょうか。

[参考:過去のブログ記事及び製品ライフサイクル]
℃-uteとしての製品ライフサイクルは衰退期?
製品ライフサイクル


製品ライフサイクル
縦軸は(A)販売数と(B)利益
横軸は時間1.導入期 2.成長期 3.成熟期 4.衰退期



現在のAKB48の延長であれば間違いなく衰退期に落ちるでしょう。

その場合、他のアイドルグループにとってはAKB48に飽きを感じたファンを

取り込むことができるチャンスとなります。


しかし、AKS(AKBの事務所)の戦略次第では、

脱することもできる可能性を持っています。


しかし一番のリスクはAKB48の構成メンバーに潜んでいる可能性があります。

というのも、ベンチャー企業などの成長を実感できる場では、

社員のモチベーションは高く保たれますが、

成長が頭打ちとなる組織においては、

モチベーションの低下に始まり、モラルの低下、離職率の増加などが

悪循環に入っていく可能性があるのは組織の特性上存在します。

(モーニング娘。の場合も同じような現象でブームが急速に収束しました。)


特に構成人数が大きいAKB48は、その拡大するスピードは早く、

深刻な問題と変化する可能性があります。


これからがAKB48にとっての正念場となるのは間違いないので、

彼女たちには頑張ってもらいたいですね。


この記事の最後となりますが、

僕にとって最も怖いのがAKBのバブルがはじけた場合、

また前回のようなアイドルの冬の時代が訪れることです。


実はある製品のバブルがはじけた場合、

その市場が全体として衰退していくケースは少なく、

経営学においても研究があまりされていない分野なので、

どう対応すれば良いかを考えるのはかなり骨がいる内容になります。


いじょー

10 件のコメント:

  1. 一人で何百枚も買ってるから。
    その人がいなくなりゃ減るんじゃない。

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  2. 匿名さん

    はい、減りますね

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  3. モチベーションの低下に始まり、<CD売り上げの低下も影響・・・
    モラルの低下、<k護ちゃんとかy口さんとか・・・
    離職率の増加などが<ハロマゲドンとかいうやつですかね?
    そう考えると確かに当てはまりますね。。。
    今のハローを普及期に当てはめたとしても下がりすぎたような気がします。
    やっぱり人気が落ち始めたところに色んな問題がぶつかった為ですかね?

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  4. お茶の間的に来年、
    今年もまた選挙あるのか、今年は何かあるのかな?
    ってなるのか。
    へ~まだ選挙やってるんだ。。
    ってなるのかが分かれ道ですかね。。

    JKT48(ジャカルタ)とかご存じですか?^^;

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  5. 匿名さん

    >今のハローを普及期に当てはめたとしても下がりすぎたような気がします。
    >やっぱり人気が落ち始めたところに色んな問題がぶつかった為ですかね?

    そうでしょうね。やっぱり人間誰しも、上手く行っていったものが、上手く行かなくなると、モチベーションが下がってしまいますからね。

    でも、その後に頑張り続けているモベキマスのメンバー達は、その厳しい環境の中で頑張り続けているので、同じパターンにはならないと思いますよー(というか信じてます)

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  6. >tさん

    まだ来年あたりは、楽しみにされてるんじゃないですかね。

    AKB48は組織構成上、スキャンダルまみれにならない限りは息の長いアイドルグループになると予想してまっす。

    もちJKT48は知ってますよー AKB48のパッケージ輸出として地域セグメントの拡大を行ってる面白い例ですよねー

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  7. おニャン子がたった2年で飛んだときももろともにアイドル市場は吹っ飛んでますから、事例としては「おニャン子後の冬の時代」「ハロマゲドン以降の冬の時代」と少なくとも2例上げることができます。そこからAKB以降を導くことはできるのではないでしょうか

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  8. 来春AKBの年長者をSDNに移籍させるという噂はまんざら嘘じゃないように思えてきました。
    何か仕掛けてきますよね?

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  9. >bluetoneさん

    おー!おニャン子後にもそういった現象が起きてたんですね。

    言われてみれば確かにWinkとか、安室奈美恵 with Super Monkeysみたいな、単体アイドルグループとしてヒットしたのはいますが、実質、
    おニャン子→モー娘。→AKBって流れですもんね。

    ありがとうございます。

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  10. >匿名 さん

    そんな噂があるんですね。初めて知りました。

    秋元さんは、人気に陰りが出始めると、
    とんでもないことやり始める感覚は持っているので、
    JPN48創設とか何かやりそうですよねぇ

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