変化の激しく不透明なアイドル業界。今、アイドル自身が自分の魅力を発信していく必要性が高まってきています。この企画では、海外に500万人以上のファンを持ち、日本のKawaii カルチャーを世界に発信するTokyo Girls’Updateが主催となり、外資系戦略コンサルタントの講師(CuteStrategy氏)としてアイドル本人たちが経営理論やマーケティング手法を学んで身に着けることに挑戦します! 第一講の様子はこちらからご覧になれます。
●セルフ・プロデュースはどう行うべきか?
前回は、現代アイドルの置かれている状況、アイドルのセルフ・プロデュースの重要性、アイドルも知っておくべきビジネスやマーケティングの基礎について紹介しました。今回は、セルフ・プロデュースを行う上で欠くことのできない将来の理想像と課題の設定をアイドルの皆さんと一緒に行います。左から、今回生徒役の寺嶋由芙、森咲樹、石川野乃花、空井美友、濱野舞衣香 |
そこで、セルフ・プロデュースを行うためにはまずビジョンの設定が必要となります。自分の理想像となるビジョンを設定することによって、自分の進むべき方向を明確に示す必要性があるからです。
●まずは自分の理想像をはっきりさせよう
さてここで、生徒(アイドル)のみなさんが掲げるビジョンとビジョンを組み立てる上でのポイントを見ていきましょう。森咲樹(アップアップガールズ(仮)) |
寺嶋さん「ゆるキャラの良さとアイドルの良さを活かした活動ができるようになりたいです。アイドルの引き立て役にゆるキャラが使われたり、キャラクターイベントに少しアイドルが出たりするのは私のなかであまり理想的ではなくて…ゆるキャラファンも自分のファンも満足できるような、そんなイベントなり新しい見せ方をしたいって思っています。」
寺嶋由芙 |
寺嶋さんも、森さんと同じく「好き!」という感情が強くビジョンに表れています。寺嶋さんの場合はそれに加えて、ビジョンを考えるうえで大事な二つ目のポイントである「他人にはない自分だけの個性・能力を世の中に広めたい気持ち」を盛り込むことが出来ています。
寺嶋さん「ゆるキャラのファン層って小さな子どもや主婦の方々だったりするので、普段私のライブに来てくれる方々とは少し雰囲気が違うんですよね。それにゆるキャラって普段無料で触れ合えるからファンの方をチケット制のイベントに呼び込むのって大変だし、みんなそれぞれの市のPRを担っているので企画も難しいんです。いろいろ問題点はあるんですけど、ゆるキャラってそれぞれが人格みたいなものを持っていて、アイドルとコラボレーションしたら絶対に楽しいと思うんです!」
ただゆるキャラが好きなだけではなく、ゆるキャラとアイドルの抱える類似の問題点(数がどんどん増えていく、熱が冷めていっているなど)を的確に把握し、そこに危機感を覚えています。こういったゆるキャラとアイドルの関係性を冷静に客観視できるところは寺嶋さんの個性であり、独自の能力です。そういった個性を加えることでビジョンがより独特のものになりますね。
PIP石川さん「社会派の作品に出演する女優さんになりたいです。現代にある社会問題を映画などの作品を通して問題提起したいです。」
左から空井美友、石川野乃花(PIP) |
石川さんのビジョンは、三つ目のポイントである「他人や社会への貢献」がしたいという思いが元になっています。誰かに対してこういった貢献をしたい!という思いが強いのは、グループのリーダーである石川さんならではの責任感の強さからきているのではないでしょうか。
濱野さん(PIP)「20代から寿命まで、老若男女からかっこいい、かわいいと言ってもらえるアーティストになりたいです。ヴィヴィアン・ウエストウッドさんのように、音楽とファッションをつなぐようなファッションデザイナーやモデルの仕事を通して、音楽やファッションにおいて自分の世界観を創りだし、日本だけではなく世界で活躍するアーティストになりたいです。」
空井さん(PIP)「千葉ロッテと自分(アイドル)のコラボによって相乗効果で知名度・人気度をあげたいなと思っています!スポーツ番組や情報誌でのインタビューなどを行うことによって、自分のファンにも私の大好きな千葉ロッテに注目してほしいし、千葉ロッテのファンの方が自分のファンになってくれたら最高だと思うんです。」
左から濱野智史(社会学者及びPIP総合プロデューサー)及び PIPメンバー濱野舞衣香、空井美友、石川野乃花 |
濱野さんも空井さんも、自分の好きなもの楽しいと思えるものをビジョンに盛り込んでいます。特に濱野さんはそれに加えて、四つ目のポイントである「ロール・モデル」について触れています。自分のあこがれの人、尊敬する人のように自分自身の世界観を創りたい!という思いが力強いビジョンに繋がっています。
●具体的な目標を設定しよう
ビジョンが固まってきたところで、次のステップとして目標を設定しましょう。ここでの目標とは、ビジョンに向かって進んだ先にたどり着く具体的な数値や期限を持った最終到着時点を意味します。それぞれの理想像になるためには具体的にどんなことを達成すべきなのか、クリアしたい最終目標の設定を行ってもらいました。森さん「30歳までに、フランスのメジャーなテレビ局とタッグを組んで、日本を紹介する番組に出たいです。でもただロケに呼ばれるだけというのは嫌で、スタッフさんと協力して制作や企画段階から関わってみたい!」
日本とフランスの架け橋になるために、現地での番組制作・出演という具体的な目標を立てることができました。目標はひとつに絞らなくてもいいので、テレビだけでなく雑誌やインターネットでの活躍を目標に加えるのも一つの手かもしれません。
寺嶋さん「一年後までにゆるキャラファンもアイドルファンも喜んでもらえるような環境でライブがしたいなあと思います。」
一年後と言わずなるべく早く…!とおっしゃっていた寺嶋さん。「ゆるキャラファンとアイドルファンの双方が楽しいと感じることのできる環境」が具体的に定まると、夢の実現にぐっと近づくことが出来そうです。
石川さん「10年後には女優として演じるだけでなく、社会問題を投げかけるような作品を自分自身で創ってみたいです。全国で上演されるような作品になったら素敵だなって思います。」
映画という手段を通じて、ビジョンにある社会問題の提起が達成したいと考えている石川さん。受賞したい賞の名前などを盛り込むともっと具体性が増すかもしれません。
さて、目標を設定するのと同時に中間目標を設定することもセルフ・プロデュースを行うにあたって大事なことです。例えば、2020年までに武道館で1万人のライブを目標としたとき、2018年までに野音で3000人のライブを中間目標としておくことで、目標が達成できそうかどうかを現実的にはかることが出来ます。
濱野さん「2年以内にファッション誌のモデルになりたいです。自分のファッションの好みや個性を理解してくれる、そんなファンを開拓する入口になったらと思います。」
空井さん「まずは2016年の年度末までに、千葉ロッテの選手にインタビューをしたいです。最終的には今までにないコラボ企画をやりたいので…」
このように、目標の前段階で達成しておきたい中間目標を決めることで、着実に目標を達成するためのプロセスを踏むことやモチベーション維持にもつながります。
●問題解決方法を学ぼう
第二講の最後に、これらの目標を達成するための問題解決方法について学びました。(そもそもここでの問題とは、目標と現状の自分とのギャップのことを指しています。)1.論理的問題解決思考(分析的思考)
問題を細かく分析していくことによって整理し、何がいけなかったのかを突き止めて改善に役立てる方法です。漏れなくダブりなく物事を分類して分ける手法(MECE)などがここではよく使われます。例えば、ファンを年齢で区分けして高校生・大学生・社会人とします。もしファンのほとんどが社会人だとすると、平日の夕方からライブをしてもなかなか人を集めるのが難しいということがわかりますね。
2.デザイン思考(統合的思考)
アイデアを掛け合わせたりすることで、今までにないイノベーティブな解決策を導き出す方法です。今となっては定着している手法ですが、CDに握手券をつけるといった発想も今までの常識を覆すような行為であり、そういった意味ではデザイン思考法に近い問題解決策かもしれません。
さて、このシリーズも次回が最後になります。第三講では、ビジョンや目標に到達するための効率的なアプローチ方法、そのために必要な生徒(アイドル)たちの自分自身の魅力について考えます。また、講義を受けて生徒(アイドル)たちの意識がどう変わったのかについてお伝えします!
・参考リンク
・参考リンク
寺嶋由芙:オフィシャルサイト : https://yufuterashima.com/
アップアップガールズ(仮) オフィシャルサイト: http://www.upupgirlskakkokari.com/
PIP オフィシャルサイト : http://platonics.jp/
******当記事は筆者が講師を努め、海外に500万人以上のファンを持つTokyo Girls Update(以下TGU)と共同で開催したアイドルが学ぶマーケティング講座の様子をTGUさんのご好意によって寄稿させて頂きました。*****
アップアップガールズ(仮) オフィシャルサイト: http://www.upupgirlskakkokari.com/
PIP オフィシャルサイト : http://platonics.jp/
******当記事は筆者が講師を努め、海外に500万人以上のファンを持つTokyo Girls Update(以下TGU)と共同で開催したアイドルが学ぶマーケティング講座の様子をTGUさんのご好意によって寄稿させて頂きました。*****
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