アップフロント・グループが減資したその理由とは | 外資系戦略コンサルタントの視点から見たアイドル・ビジネス

2012/03/12

アップフロント・グループが減資したその理由とは




みなさん

こんにちは。お久しぶりです。

かれこれ4ヶ月近く、このブログを放置していました。


頭の中ではこの4ヶ月間、

色々とアイドルビジネスやハロプロの今後について考えたり、思いは馳せているけれど

ブログを書いたからといってハロプロの方向性が変わるわけでもなく、

アイドル界隈で有名になるわけでもないので、

むなしさを抱きつつ、日々の仕事と生活をモンモンと営んでいました。


そんな中、ふとフォロワーさんに

このブログを誉められたので瞬発的にテンションが上がったので、

調子にのって久しぶりに更新したいと思います。


さて、近況報告をしたところで本題に移りたいと思います。


今年2月の官報にアップフロントグループの財務諸表のBSが掲示され、

それが偶然目に留まったので、今回はこの内容について書きたいと思います。





まずは官報の部分を掲載

アップフロントグループの減資と貸借対照表



























基本的に上場企業の財務諸表は連結決算の損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、

キャッシュフロー計算書の3つで構成されますが、

アップフロントグループは未上場企業なので単体決算のBS(2011年3月決算)のみです。


そして、アップフロントグループは持ち株会社なので、

その単体決算(しかもBSのみ)を見ても大層なことは言えないのですが、

折角の情報なので色々見ていきたいと思います。


アップフロントの会社構成が判らない方は、過去の記事を読んで下さい。

アップフロントグループってどうなってるの?

まず、この官報で判ることは

①資本金の減資を実施
②純利益は5.1億円
③負債額が極端に少ない健全な財務体質
④グループの固定資産は当企業が保有?

ということです。


まず、①を見ていきましょう。

最初見たときは、資本金の減資を実施したことから財務状況が悪いのかと思ったんですが、

流動資産を90億近く有しているにも関わらず、1,600万程度を減資する理由がありません。

基本的に資本金の減資は損失などの欠損を解消するために実施します。)


そこで、次に思いついたのは資本金1億以上を1億未満にすることにより、

節税対策を実施したのだろうということです。


資本金1億未満であれば、様々な観点で節税可能になります。

交際費などの費用面でも節税可能ですが、

一番大きいのは法人税等で10%程度節税できるという点でしょう。


というか、なぜそもそも資本金を中途半端に1億以上にしていたのかが謎です。。。。。


そして資本金1億未満は国税局ではなく、税務署管轄になるので、

もしかして、こっちも見越した上かもしれません。

ここの理由はゴニョゴニョと言葉を濁します(笑)



次に②の純利益が5.1億ということですが、

この金額は単体決算のため特に言うことはないですが、

④で説明する不動産の運用益と、グループ会社のコンサルティング費用や、

業務委託料といったところでしょうか。



次に③についてですが、

負債額が極端に少なく、健全な財務体質と推測できます。


資産を300億近く有しているのに、負債が9億程度なので、


・他の子会社等に負債を押しつけて健全に見せかけてない

・ビジネスの失敗によって大きく赤字である子会社が存在しない


限りは、アップフロントが当分の間は倒産することはなさそうです。

そして、利益剰余金が280億近く有しているので、

過去のアップフロントバブル時にしこたまお金を留保しているようです。


さて、最後の④についてですが、

③で述べた利益余剰金280億円の使い道は、どこに行ったのでしょうか。

その答えは、固定資産です。

約1:2の割合で流動資産(現金等)と固定資産(不動産や工場設備等)に資産が分かれています。

固定資産には、著作権や設備費などが含まれますが、

著作権はアップフロント音楽出版社が管理し、

花畑牧場を除くエンターテイメント事業に工場は必要ないので、

この金額の殆どは土地や建物の不動産資産と考えて間違いないでしょう。


グループ内には不動産企業(オデッセー不動産)も含まれていますが、

持ち株会社に不似合いな220億円にもわたる固定資産を保有しているため

これらは持ち株会社が管理しているみたいですね。

多分、創業者一族の不動産もここに含めているのでしょう。


1点ほど心配なのは、この不動産を購入した時期ですね。

2006年付近のプチ不動産バブルで購入した不動産であれば、

時価評価によって大きく損失を出す必要がありますが、

単体で考えれば負債も少ないので、まだ健全だと考えられると思います。


さて、相変わらず、だらだらと書きましたが、

個人的にはアップフロント・エージェンシーとワークスの財務諸表が欲しいなぁ。

そして、時間があれば去年情報が出ていた花畑牧場についても書けたらなぁなぁなぁ。。。。。。

次回更新予定は未定!

年内に1回以上は更新すると思います(笑)


ばいちゃーこ



7 件のコメント:

  1. 久しぶりの更新おつかれさまです。
    ハロプロの倒産はまだないと言うことで安心しました。笑
    次の更新も気長に待っています。

    話は変わりますが、このあと0時に℃-uteの新曲のMVがアップされるみたいですね。久々のMVなので楽しみです。

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  2. どうも久しぶりの更新読ませて頂きました。
    ちょっと不動産って所がアップフロント=ハロプロではないという忘れがちな所を思い出し、このグループの困った所(ファンに取って)への収益の流動が考えられる訳で。
    まぁ~それでも健全な企業だと言う事が分かるだけで一安心なのかなと。
    経営学など全く知らない自分でも分かりやすく有り難い記事だと思いました。
    (他の記事でも毎回思って居るんですけどねw)

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  3. 記事いつも興味深く読ませて頂いてます。この件も、むちゃくちゃおもしろかったデス。失礼いたします。

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  4. 興味深いレポありがとうございます

    本社が入ってる麻布光栄ビルも他社からの1棟貸しの賃貸なので
    固定資産の増大を防いでるんでしょうね

    次の更新期待してます

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  5. さむらいのたまご2012年3月13日 16:45

    こんにちは。今日始めて読ませていただきました。

    今、大学で会計の勉強していて、なんとなく「ハロプロ 財務諸表」って
    ぐぐったらこのサイトに・・・www

    分からない単語が多々ありましたが(爆)、なんとなく面白かったです←おいww

    お気に入りに追加させていただきました(;^◇^;)ゝ

    あと、気になったんですけど
    資本金1億円以上の会社ってF/S公開義務みたいのなかったでしたっけ?

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  6. こんにちは、はじめてコメントいたします。

    UFGの貸借対照表が拝見できるとはまたとない機会ですね
    貴方の分析をはじめ、たいへん興味深いです!!

    ほんと優良企業ですね
    これからも安心して所属タレント(もちろん私の場合ハロー!)を応援していけます

    ただ固定資産に関する分析ですが、もしかすると子会社株式なんかも結構な金額だけ含まれているかもしれませんよ。もちろん設立時からの完全親会社であれば出資額=簿価となってあまりB/S上の金額は膨らまないかもしれませんが、UFWみたいにもともと旧ゼティマ等3社が他社との合弁であったところを株式買取りによって完全子会社化した過去がありますから...

    純資産サイドも色々と興味深いですね。資本金の額に比した資本剰余金の額とか(過去にも減資してる??というかもともと資本金が大きかったのは何故?株式交換かなんか??)、その他有価証券評価差額金があることとか(やっぱり証券投資もしてるんだ??)とか...。

    そういえば、日本の会社ってほんと決算公告しないですよね...。原則として株式会社はすべて公告する義務があるのに。

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  7. 絶頂時の資産がタンマリ。
    芸能界は当たるとデカいと言うべきか、本業に金使ってないと言うべきか…。

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